お見合いは未経験
「泣…いて…ごめんなさい。」
ちらりと見ると、貴志ににっこり微笑まれた。

「謝らなくていいから。ごめん。こんなに我慢させているとは思わなくて。」
貴志がなでなで、と頭を撫でてくれる。

子供にするようなのに、何故か安心してしまった真奈だ。
「我慢、してないです。」
本当に。

結婚式は楽しみでもあったし、これからずっと一緒に居られると思うと本当に嬉しかった。

ただ、決めることが思ったよりたくさんあって、困った時、つい頼りたくなってしまっただけ。

招待状も紙から、字体から、決めなくてはいけない。
花も、白系?と漠然と思っていたが、種類は?
シンプル?華やか?テーブルクロスは?引き出物は?

結婚式の準備で決めることは、考えていたより細かく、たくさんあったのだ。

「たくさん対応してくれていたんだね。大丈夫。前にも言ったけど、真奈、一人でやらなくていいんだよ。」

早めに引っ越してきてくれたら、それも相談に乗ってあげられる。
そう言われて、安心した。

「何でも言っていいんだよ。」
忙しいかも、と思うこともあるかも知れない。

気を使ってくれること。
それはすごくありがたい。
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