お見合いは未経験
お店の予約は19時から、ということだ。
場所はデパートに近いお店。
それでも、奏は少し遅れるから、先に始めていてくださいね、と連絡をもらっている。

ゆっくり出てきても、待ち合わせの時間にはだいぶ早いな、と携帯を確認すると、葵からの着信だ。

『あ、やっぱり、もー終わってます?私も今日は定時で上がってしまったんで、お茶でもしませんか?』

ゼロ次会、と葵が笑っている。
銀行勤めの葵には、真奈がある程度定時に仕事を終えられることは、予期していたようだ。

ティールームを指定され、向かうと、葵が手を振っていた。

可愛らしいボブヘアは葵に本当によく似合っている、といつも思う。

「ケーキもありますけど、ご飯の前ですから。」
「お茶にしますか?」
葵とゆっくり話すのは、あのバーベキューの時以来だった。

「新婚生活、どうですか?榊原さんも転職されて、お忙しいでしょう?」
「はい。あの、葵さん…」
せっかくなので、先輩人妻にいろいろ聞こう。

「成嶋さんも、お忙しいんですよね?」
「そうですねー。でも、成嶋はあれがいつものペースですからねぇ。」
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