お見合いは未経験

成嶋がきょとん、と顔を上げた。
「もったいねーな。」
「もったいない？ですか？」
「なあ、柳田はどう思ってんの？」

「あ、いい上司です。相談にもちゃんと乗ってくれますし、頂く回答も、なるほどと納得出来ることばかりで。」
「そんなの知ってる。じゃなくてさ、現場に来てくれたらいいのに、って思わねぇの？」

「あんま、考えた事なかったです。決裁、お忙しそうですし。僕らも不備が多くて…」

「ふーん。もっとこいつのこと、使ったら？決裁だけじゃマジ勿体ねーぞ。こいつのロジカルな提案聞いてみ？勉強になると思うけどなー。柳田くん？使える人材は上司でも使えよー。こいつだって支店にいた時、すげー他人使い荒かったんだからな。」

成嶋に人使いが荒いと言われるとは思わなかった。

「あなたがそれ、言いますか？」
「オレに隠れて、お前も結構荒かったって！」

「聞いた事あります。チーム成嶋。あれで一時期、支店でチーム制を導入したんですもん。まあ、上手くいきませんでしたけど。あと、総合提案とかすごく言われました。でも、難しくて。」

誰でも成嶋と同じように出来る訳ではない。
むしろ榊原はそれが分かっていたから、敢えて自分は別の手法を取っていた。

「なんか、あったら何でも聞いてこいよ。時間があったら教えてやるし。」
成嶋の言葉に、
うわー、いいんですか？と柳田は喜んでいる。