お見合いは未経験
「はい。真奈…でいいかな?」
真奈はこくっと頷く。

「真奈は、僕のこと嫌い?」

少し、トーンを落とした榊原にそう尋ねられ、真奈は慌てた。
「え!そんな訳ないです。」

「じゃ、どうして俯いちゃうの?」
「だって…、貴志さん、すごく、素敵だから。」

嘘みたい…。断らなきゃって、思っていた。
望まない、お見合いだったのだと。
嫌いな訳がない。

「真奈…こっち見て。」
両手で頬を包み込まれ、しっかりと目線が合う。

どうしよう。素敵過ぎる。

真奈は真っ赤になってしまった。
本当にいいの?泣きそうだ。

「どうしたの?」
「どうしていいのか、分からないんです。」
「大丈夫。真奈は僕の顔、好きなの?」
そう問われて、真奈は素直にこくりと頷いた。

「可愛い、真奈。僕も真奈の顔可愛くて好き。今日話してみて、話しているとこも食事してるとこも、仕種も、全部可愛いって思った。」
「でも、私人見知りですし、今日も上手く話せなくて…っ」

「そんなの、全然平気。」
本当に平気のようで、むしろ嬉しそうににっこり微笑まれた。

「真奈。」
優しい声で名前を呼ばれて、きゅっと抱きしめられる。

すごく、すごくどきどきする。
でも、好きな人と触れ合えるのは、なんて幸せなんだろうか。
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