お見合いは未経験
「はい。」
「彼氏なの?」
「あの...彼、なんでしょうか。お見合いのお相手なんですけど。」
きゃーと盛り上がっている。

「お、お見合い!?」
「もちろんOKするんでしょ。」
「はい。お話し進めましょう、と言って下さっていて。」

「あんなに素敵なら、心配よねー。」
「心配?」
「絶対モテるでしょ。」
「うんうん!モテそうよね!だし、経験豊富そうだし、優しそう。いいなー、小笠原さん。」

け...けいけんほうふ?え?!えー?!
「確かに、そうですよね…。」
どうしよう?そんなこと考えてなかった。

でも、小笠原さんのこと、あんなに大好きって雰囲気だったら、大丈夫よー!と同僚達は言っていたのだが、真奈の耳には完全に入っていなかった。

こんな、未体験の私で大丈夫でしょうか...。

「小笠原さん、ちょっといいかな?」

真奈の担当の営業が話しかけてきたので、同僚達もまた、聞かせてね、と散開する。

「さっきの人って…、商銀の次長だよね。知り合い?」
「はい。」
何故だろう、信託銀行所属の人が商銀、という時に微妙な響きが混じる気がするのは。

同僚には、どこまで話していいんだろうか…。
同僚、というか、担当の営業なのだが。

「支店で顔を見たことがあるよ。あの若さで次長なんだってね。異動されてきた時は、女子行員が相当ザワついたみたいだね。」
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