お見合いは未経験
「真奈さん、もし差し支えなければ腕をどうぞ。お着物では足元が歩きにくいでしょうから、よろしければ。」
拒否られるかと思ったが、すみません、とそっと手を預けてくる。
それでもかなり遠慮していて、ほとんど指先だけを引っ掛けている感じだ。
エレベーターでロビー階まで降り、そこから庭に向かう。
一瞬、ロビーがしん、とした。
美形と日本人形の組み合わせは半端なく、目立つ。
時折、美形の方が柔らかく、お人形のような彼女を見るのも絵のようだ。
お互い一人でも目立つのだが、それが二人並ぶとなかなかの見栄えなのだ。
「お散歩ですか?どうぞ。」
ドアマンがドアを開けてくれる。
「ありがとう。」
二人がいなくなると、やっとロビーは、いつものざわつきを取り戻した。
ホテルの庭園は見事な日本庭園として整備されており、天気が良いせいか、他にも何人か散歩をしているのが見える。
綺麗に手入れされた芝と、植木。
さらさらと流れる小川。
「本当。お庭もすごく素敵なんですね。」
「真奈さん。」
嬉しそうな真奈に、榊原は声をかける。
「はい。」
「僕は今回このお話、進めたいと思っています。あなたはいかがですか?」
「榊原さんさえ、よろしければ。」
「貴志、です。僕の名前。」
「貴志さん…。」
「はい。真奈…でいいかな?」
真奈はこくっと頷く。
拒否られるかと思ったが、すみません、とそっと手を預けてくる。
それでもかなり遠慮していて、ほとんど指先だけを引っ掛けている感じだ。
エレベーターでロビー階まで降り、そこから庭に向かう。
一瞬、ロビーがしん、とした。
美形と日本人形の組み合わせは半端なく、目立つ。
時折、美形の方が柔らかく、お人形のような彼女を見るのも絵のようだ。
お互い一人でも目立つのだが、それが二人並ぶとなかなかの見栄えなのだ。
「お散歩ですか?どうぞ。」
ドアマンがドアを開けてくれる。
「ありがとう。」
二人がいなくなると、やっとロビーは、いつものざわつきを取り戻した。
ホテルの庭園は見事な日本庭園として整備されており、天気が良いせいか、他にも何人か散歩をしているのが見える。
綺麗に手入れされた芝と、植木。
さらさらと流れる小川。
「本当。お庭もすごく素敵なんですね。」
「真奈さん。」
嬉しそうな真奈に、榊原は声をかける。
「はい。」
「僕は今回このお話、進めたいと思っています。あなたはいかがですか?」
「榊原さんさえ、よろしければ。」
「貴志、です。僕の名前。」
「貴志さん…。」
「はい。真奈…でいいかな?」
真奈はこくっと頷く。