ダイヤの王様
それでも私たちは童心にかえり、数年ぶりの勝負をした。大声で笑い、文句を言い、夢中になって遊んだ。

はずみで、カードを押さえる手と手が重なるまでは。

彼はじっと見つめてきた。真面目な顔で、大人びた瞳を揺らめかせて、告白したのだ。

「お前が好きだ」

息が止まるかと思う瞬間、私は何も考えず、頭を振っていた。今頃になって、そんなことを言うなんて。

「今まで黙ってたのは謝る。受験勉強の邪魔になりたくなくて、言いそびれてた……自信もなくて」

言わなくちゃ。

私の気持ちも伝えなくちゃと考えながら、もう一度頭を振っていた。

「俺が嫌いか」

「違う!」

「それならどうして……」

何も応えられない私をしばらく見守っていたが、やがて彼は言った。懸命に伝えようとする心が、声を震わせている。

「待っていてほしい。4年後、俺が帰って来るまで」
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