極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
デパートで私が選んだシャインマスカットのホールケーキと、父が好きなブランデーを携えて人形町の自宅へ向かう。
江戸時代から東京の中心地であった日本橋に近い人形町。オフィスや老舗の食事処が多く、父の経営する嵯峨野の本店もあった。
我が家は大通りから少し離れた住宅街にある。
祖父が建てた家は、周りの雰囲気に沿って日本家屋である。二階建ての7LDKで、現在は父と母と私の三人暮らし。私が結婚したら、広い家に夫婦ふたりきりになってしまう。庭もあり手入れは庭師を呼ばなくてはならないほど樹木がある。
最近では私の結婚後、そういった手間のかからないタワーマンションの部屋を買おうかとも話をしているみたいだった。
朔也さんは三台ある駐車スペースのうちのひとつに車を停めた。隣には父のハイクラスの国産車が一台置かれている。
時刻はあと十五分で十九時になるちょうどいい時間だ。
駐車場の門扉を通り、玄関に向かう。
車の音に気づいたのか、引き戸を開ける前に父が姿を見せた。呉服店の社長らしくグレーの着物を着ている。
「朔也くん、悪かったね」
「いえ。お招きいただきありがとうございます」
お気に入りの朔也さんを前に父は破顔している。まったく、娘そっちのけなのだ。
「まあまあ中へ入りなさい」
父に招き入れられた朔也さんの後から私もついていく。
江戸時代から東京の中心地であった日本橋に近い人形町。オフィスや老舗の食事処が多く、父の経営する嵯峨野の本店もあった。
我が家は大通りから少し離れた住宅街にある。
祖父が建てた家は、周りの雰囲気に沿って日本家屋である。二階建ての7LDKで、現在は父と母と私の三人暮らし。私が結婚したら、広い家に夫婦ふたりきりになってしまう。庭もあり手入れは庭師を呼ばなくてはならないほど樹木がある。
最近では私の結婚後、そういった手間のかからないタワーマンションの部屋を買おうかとも話をしているみたいだった。
朔也さんは三台ある駐車スペースのうちのひとつに車を停めた。隣には父のハイクラスの国産車が一台置かれている。
時刻はあと十五分で十九時になるちょうどいい時間だ。
駐車場の門扉を通り、玄関に向かう。
車の音に気づいたのか、引き戸を開ける前に父が姿を見せた。呉服店の社長らしくグレーの着物を着ている。
「朔也くん、悪かったね」
「いえ。お招きいただきありがとうございます」
お気に入りの朔也さんを前に父は破顔している。まったく、娘そっちのけなのだ。
「まあまあ中へ入りなさい」
父に招き入れられた朔也さんの後から私もついていく。