極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
 私は重箱の入ったショッパーバッグをテーブルに置き、バッグからスマホを取り出すと、部屋に着いたことを朔也さんにメールする。直後にこれから向かうと返信がきて、私は無意識に顔をほころばせる。

 朔也さんは車で通勤している。道が空いていれば二十分くらいだが、混む時間帯なので時間が読めない。

「さてと、テーブルの用意をしよう」

 拭いたローテーブルの上に、一緒に出かけたときに買ったテーブルマットを並びで二枚敷いて、お皿とお箸、それとグラスをセットする。

 ショッパーバッグから重箱を出すが、まだ開けずに置いておく。

 すでに陽は落ちて、夜景が綺麗だ。

 私はソファに腰を掛け、クッションを抱えて宝石箱のような夜景を眺める。

 それから三十分も経たないうちに玄関の開く音がして、私は朔也さんを出迎えにいく。

「おかえりなさいっ」

「ただいま」

 朔也さんは口もとを緩ませて私の腰に腕を回し、おでこにひんやりした唇があてられてから、今度は唇に軽くキスが落とされる。

「急いで着替えてくる」

「はい」

 私の腰から手を離した朔也さんは、リビング奥のドアに消えていく。

 ビジネススーツ姿の朔也さんはかっこよくて、すぐに着替えてしまうのは残念な気持ちになる。しかし、スーツではくつろげないのもわかる。
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