極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
「愛情を込めて作ってくれたんだろう? 食べよう。食事が終わったら、美月を放さないから」

 朔也さんの甘い言葉に、ボッと火がついたみたいに顔が熱くなって、急いで緑茶をグラスに注ぎ、ゴクンと飲み込む。そんな私を「クッ、クッ」と拳にした手を口もとにやって笑う朔也さんだった。

 私をどぎまぎさせるのを楽しんでいるんだからっ。

 はぁ~と深呼吸をしてから、一段目に詰めた具だくさんのちらし寿司をお皿に取り分け、彼の前に置く。ちらし寿司には花の形にカットした人参を飾っている。

 一段目にはそのほかにだし巻き卵と筑前煮、二段目には唐揚げやエビフライ、ポテトサラダと野菜の肉巻きがぎゅうぎゅうに入っている。お弁当としては我が家の定番中の定番だ。

 朔也さんはちらし寿司を口にしながら、花の形の人参がかわいいと褒めてくれ、ほかのおかずもおいしいと言ってモリモリ食べてくれる。

「これで料理が苦手なのか? 俺には十分に思える」

「お母さんが隣で教えてくれたから。いなかったらこんなに作れなかったし、おいしくなかったと思うわ」

 そのとき、朔也さんの視線が私の右手を見た。
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