極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
 その日から姉は、もとの自分の部屋で生活を始めた。

 すでに弁護士を見つけたようで、自室に引きこもっているわけではなく、夜遅くまで帰ってこない日もあった。両親はそんな娘を心配している。

 母は姉と話し合ってはみたものの別れるの一点張りだそうで、お手上げ状態だった。

 姉に振り回される数日を過ごし、やっと明日は土曜日だ。

 高確率で離婚になるのだろうけれど、まだ確定じゃないから朔也さんにはその話をしていない。

 夕食後、お風呂から上がって自室に戻り、髪の毛をタオルで拭きながらデスクの上に置いていたスマホを開くと朔也さんから着信が入っていた。十分前だった。

 現在は二十一時を過ぎたところ。朔也さんはもう家に? それとも会社?

 私はスマホを持ったままベッドに腰を掛け、朔也さんの名前を出してタップする。

『美月、これから会いたいんだが』

 朔也さんはすぐに電話に出た。いつもと様子が違うように思えて心配になる。

「どうしたんですか?」

『会って話したい。三十分後でいいか?』

 話したい……緊急な用事?

 私の胸がドクッと嫌な音を立てた。ふと姉のことが脳裏をよぎり、不安に襲われる。
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