極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
『美月? 大丈夫か?』

「あ、あの、嫌なお話?」

『そうだよな。突然会って話がしたいと言われたら、不安にもなるよな。長期の海外出張になったんだ。詳しくは会って話す。じゃあ』

 朔也さんは通話を切った。切れたスマホを持ったまま、胸のところでギュッと握る。

 長期の海外出張……。

 別れる話ではなかったけれど、長期の海外出張って、どこに? どのくらい?

 言いようのない不安でたまらないが、あと三十分もすれば朔也さんが到着する。

 落ち着かない気分のまま、ドレッサーの前でドライヤーを髪の毛にあてて乾かした。

 夜は寒くなってきている。ワンピースの上にレモンイエローのカーディガン、大判のストールを肩にかけて、約束の時間の少し前にリビングへ行く。

「あら、そんな格好でどうしたの? コンビニでも行くの?」

 リビングのソファでくつろいでいた母が不思議そうだ。

「朔也さんが来るの。話があるって」

「まあ、こんな時間に? なんなのかしら……上がってもらったら?」

「ううん。出てくる。いってきます」

 私はリビングを出てローヒールの靴を履き玄関を出た。

 門扉を出ると朔也さんの車が停まっているのが見え、彼は外で待っていた。スーツ姿が素敵すぎて、心臓が跳ね返る。

「美月、近くのカフェにでも行こうか」

「うん。朔也さん、夕食は?」

「オフィスで食べたよ。乗って」

 朔也さんに助手席のドアを開けて促され、私は乗り込んだ。
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