極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
 いた!

 門から十五メートルくらい離れた一方通行の道路に、スポーティーな車体のドイツ車が停まっている。

 そして艶やかなブラックの車の横には、ベージュのジャケットにスリムな紺色のスラックスを身につけた、雑誌の表紙を飾るモデルのような朔也(さくや)さんがいた。

 着やせするが、ジムで鍛え上げられたしなやかな筋肉のついた肢体はもとより、キリッとした目に高い鼻梁、少し大きめの口、笑った顔にいつも胸を高鳴らせるほどの破壊力のあるイケメンなのだ。

 彼の姿を見つけて、思わず顔がほころぶ。

「朔也さん!」

 私が土曜日の講義を毎回悔やんでいるのと、急ぎ足だったのは彼のせい。社会人である彼は土日が休日だから。


 彼は(ひじり)朔也さん。日本で一、二を争う百貨店を経営する『聖(ひじり)ホールディングス』の専務取締役。そして、私の婚約者だ。

 私とは八歳差の三十歳。アメリカ東海岸の超難関大学でMBAを取得し首席で卒業している朔也さんは頭が切れ、二年前までは業界の五番手あたりだった会社の業績を一気に引き上げた手腕の持ち主だ。

 若いながらも重役たちからも一目置かれていると、聖ホールディングスの取引先である父から聞いている。
< 4 / 62 >

この作品をシェア

pagetop