極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
 二月までであれば結婚式も問題はない。そこのところは安堵すべきなのだが、心が追いついていかない。

 朔也さんと四ヵ月も会えないの……? もしかして一緒に連れていってもらえる?

 そう思い一瞬うれしくなるが、直後に肩をガクリと落とす。

 私には大学がある。一緒についていけば留年をするしかない。でも朔也さんと離れるくらいならそれでもいいと思う自分がいる。

「美月? 本当に申し訳ない。結婚の準備は美月にやってもらうしかない」

 その言葉にハッとする。私を連れていくつもりはないんだ。

 たしかに、遊びではない。仕事で行くのだから。しかもイタリア支社の業績を上げなければならないという使命を受けて。私が行ったら邪魔になる。

「……うん。お式の打ち合わせは任せて。新居はふたりで決めたいから、朔也さんが戻ってから探そうね」

 悲しくて仕方ないけれど、にっこり笑ってみせる。

「美月……ありがとう。戻ったらすぐに新居を探そう。物件が決まって引っ越しができるまで、手狭だが今の俺の部屋で暮らそう」

「今のお部屋も手狭なんかじゃないわ。それより結婚式の決め事はほとんど終わっているし、後は私ひとりでも大丈夫よ」

 空元気を見せているのは見え見えだったようで、テーブルの上に出ていた手を朔也さんが両手で包み込み、自分の口もとに持っていく。
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