極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
 高級な革のシートに座りながら、何も言ってくれない朔也さんの唇が触れたおでこへと指をすべらせているうちに、彼が運転席に乗り込んだ。

 シートベルトを引き出して装着するのを手伝ってくれる。カチッと音がして顔が思いのほか寄せ合っていて、ドキッと私の心臓が跳ねた。

「美月、俺も同じ気持ちだ」

 てっきりおでこのキスで話を終わらせられたのかと思っていた私は、不意を突かれてポカンとなった。

 そこで朔也さんはニヤッと口角を上げて、さっと私の唇にかすめるようなキスをした。

 考えてもいなかった彼の行動に、鼓動が早鐘を打ちドキドキが止まらなくなる。

「さてと、腹が減っているだろう? ランチに連れていく。その後は美月が行きたがっていた水族館でどう?」

「うれしい。おなかが空きすぎて、講義中鳴らないかひやひやしていました。朔也さん、ごめんなさい。遅い時間までランチを待たせてしまって」

 私は笑いながら、ワンピースの上からおなかを両手で押さえた。

「じゃあ派手な音を鳴らさないように、早く連れていかないとな。土曜日は軽くブランチにしているから今の時間でちょうどいいよ」

 朔也さんは楽しそうにそう言って車を発進させた。
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