私達には、関わらないで!!
···陽真
兄がいきなり実家を出て
会社の寮に入った事が気になっていた。
兄の悠真には、
付き合っている女性がいたはず····
二人が一緒にいる所を
何度も見かけた。
兄のあの幸せそうな顔は、
こっちが恥ずかしくなりそうだった。
女の人も、綺麗な方のようだ。
横顔しかみてないが。
それなのに、寮?
母親に聞いても知らないらしい。
父親が関係しているのか
あの人は、
子供でも自分の駒としか
思っていない
そんな非情な人間だ。
父の秘書の林も
胡散臭くて苦手だった。
大学三年の時
インターンシップで
兄がいる会社に入った。
教授に無理やりお願いした。
父親や兄を使いたくなかった。
人事には、父の命で偵察に入るからと
嘘をつき、極秘で入った。
でかすぎるから抜け道ができるんだ。
情けない。
兄は、今年専務となり
石川の会社を全て見ているはず。
社内の噂を聞くと
かなり厳しい人だと言われている。
規模は縮小するが
売上も上がっているみたいだ。
兄の姿をとら····え·····た····
なに·····?
どうして·····?
痩せてしまい
目は鋭く、険がでている
まるで、父親をみているようだ。
秘書の男性が
「休んで下さい。
食事も取られていません。」
と、言うが
「かまわん。」
と、一言。
だが、足元はふらついている。
兄が専務室に入ると
秘書がブツブツ言っているから
「すみません。イッターンシップで
お世話になっているものですが
道に迷いまして。」
と、言うと
「どちらに行かれますか?」
と、優しく聞いてくれたから
「総務課なんです。」と、伝えた。
ここから一番遠い
彼は、案内してくれたから
「先程の方は?」と、尋ねると
「専務です。
仕事がかなり出来る方です。
ですが、食事も睡眠も
この二年半ほど
まともに取られていないのです。
仕事以外は、
ほとんど専務室にいて
寝るのも専務室のソファーでして
あっ、すみません。
この事は、ご内密に。」と。
彼が、かなり兄を心配しているのが
わかる
「もちろん他言しませんよ。」
と、伝えた。
俺は、おかしいと思い
腕の良い探偵に依頼をした。
兄と父の身辺を調べてもらう。
思わぬ情報が入り
兄の恋人だった女性についても
調べてもらった。