私達には、関わらないで!!

石川と告げた時の彼女の顔は

恐怖と屈辱と嫌悪感がひどく
わなわなと振るえながら
帰るように言われた。

レストランのシェフ
きっと彼女の伯父さんであろう彼から

金持ちと言うフレーズがでた
やはり、林が何かいったか
したんだ。

怒涛の如く文句を言われて
何一つ言い返せなかった。

拳を握りしめ、歯をくいしばり
頭を下げてレストランを出た。

食べた物のお代は払う
常識的な事は忘れなかった。

だが⋅⋅⋅⋅⋅彼女は⋅⋅⋅⋅⋅

どれだけの事を言われたのだろうか
どれだけ心を傷つけられたの
だろうか
どれだけ·····どれだけ·····

あれからも兄は、
点滴をしながら仕事を続けている。

顔色はなく、目は窪み隈も酷い
やたらと目付きが鋭くなっている
体重は、10キロ以上落ちているのが
わかる。
なんとか、手を打たないと
こんな生活を止めさせないと

どうすれば····
どうしたら·····

そう思っている間に
兄は倒れて病院に運ばれた。

起きて出ていこうとする兄に
今は、麻酔を使い
眠らせている。

父親は、
「何を甘えた事を。」
と、言って病室から出て行ったらしいが
俺は、早乙女さんに
兄を頼んで、ソライルへと
向かった。

どんなに言われても
どんなに蔑まされても
どんなに嫌がられても
頼みこむ。

日曜日の閉店間際
店に迷惑がかからないように
この時間に伺う。

閉店の準備をされていたらしく
嫌な顔をされたが
座り込んでお願いをする
何と言われても兄を救えるのは
前園さんだけだ。

頭を土間にすり付けて
何度もお願いする

すると、小さな小さな女の子が
俺を救ってくれた。

この子は····
きっと···兄貴の·····

ソライルのオーナー夫婦
(前園さんの伯父さんにあたる。)
少し離れた所に
前園さんと娘さん。
バイトの男の子は、帰って行った。

全てを把握しているわけではないが
自分が調べたこと
見てきたことを
全て話した。

前園さんは、酷く驚いていて
オーナーは、険しい顔をしている
奥さんは、前園さんの背中を
さすっている。

「お願いします。
兄を、兄を助けて下さい。
兄を助けられるのは
前園さんだけなんです。
あなたと一緒にいた時の
兄が本当の兄です。
このままだと
兄は死んでしまいます。
大げさだと思われるかも
しれませんが
そのくらい切羽詰まっています。
父や林に邪魔はさせません。
必ず前園さんは、守ります。
どうか、お願いします。」
と、頭を下げる。

俺の頭を撫でてくれる小さな手。
「陽菜乃。」と、呼ぶ前園さんに
「ママ~。おじちゃん
おねがいいってるよ
はい、わかりましたって
いわないの?」
と、陽菜乃ちゃんと言う
女の子に言われて
答えられずにいる前園さん。

すると
「芽依、行ってこい。」
「「伯父さん。・理さん。」」
と、前園さんと奥さんが····
「このまま、その人に
何かあったら
一生、後悔することになるんだぞ。
わかるな。」
と、オーナーが、すると
「······うん。」
と、前園さんが言ってくれた。

「それに、彼の話しをきけば
あの時、来た男の話しと違うじゃないか。
会ってこい。
陽菜乃は、俺達が預かるから。」
と、オーナーは、言ってから
「あんた、陽真君と言ったかな
陽菜乃の事は、まだ言わないでくれ。
あんたの親に知られたくないし
こいつの父親にも知られたくない
それから、芽依に危害がないように
芽依が、これ以上傷つかないに
してくれ。
こいつは、されなくてもよい
言われなくても良い事を
沢山言われたり、されたりして
傷ついて我慢して過ごしてきた。
これ以上、芽依に何かあったら
俺は、あんたらを敵に回すからな。」と。

俺は、頷いてから
「はい。お約束します。
俺も、父親の行いを
このまま黙って見るつもりは
ありません。
芽依さん、一緒に行ってくれますか?」
と、オーナー夫妻と芽依さんに
頭をさげると芽依さんは、
「悠真に会います。」
と、言ってくれた。

芽依さんは、娘さんに
「この、お兄ちゃんと
行ってくるから理伯父さんと
ゆかりちゃんとお留守番
してくれる?」
「うん、だいじょうぶ。
理ちゃんとゆかりちゃんといる。
だけど、はやく帰ってね。
お兄ちゃん?また、きてね。」
と、陽菜乃が言うから
陽菜乃を抱き締めて
着替えをしてから陽真さんとでる。

陽真さんは、車で来ていて
私は後部座席に座った。
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