私達には、関わらないで!!
本当に、毎日が幸せだった。
そんなある日·····
卒業の前日に
マンションのブザーがなり
悠真が忘れものしたのかな
と、でると
スーツに身を包んだ人が立っていた。
「あの?」と、発すると
「前園 芽依さんですね?」
と、言われて
「はい。前園ですが
どちら様ですか?」
と、訊ねると
「私は、石川財閥・総帥
石川 忠臣様の秘書で林と申します。」
「石川財閥?」
「石川 悠真様は、
石川財閥の次期総帥です。」
「石川 財閥?総帥?······
「悠真様の事でお話がありまして
お伺いしました。」
「えっ、はぁ····あっ、どうぞ。」
と、わからないが部屋にあがってもらい
お茶の準備をしようとすると
「直ぐに終わりますので
お掛け下さい。」
と、否定的に言われて
林さんの前にすわると
「悠真様には、小さい時から
決められた許嫁がいらっしゃいます。
大学を卒業されましたら
正式に発表されます。」
「···許嫁?····悠真はっ·····
それを····知っているのですか?」
「当然です。
失礼ですが、あなたとは、
大学時代のお戯れかと思われます。」
「たわ·むれ····そうですか。わかりました。」
「物わかりの良いかたで助かります。
さすが、先生になられるお方。
それでは、これをお納め下さい。
そして、悠真様に今後一切
関わる事がないように御願い致します。
あっ、そうそう
万が一、妊娠とかありましたら
それで、処置を御願い致します。
後々、問題がありましたら
大変ですから。」
と、言いながら置いた封筒から
でてきたものは、札束だった。
見たこともないような束
「林さんと言われましたよね
こんな物持って帰ってください。」
「あなたが頑張っても
手にすることは出来ない額ですよ。」
と、ニヤリと笑う
「子供ができていたら
処置をしろとか
人の命をバカにするような人達から
なんにも頂きたくありません。
悠真にも幻滅しました。
人を持て遊んで騙すなんて許せない。」
「あなたが、何をしようとしても
石川財閥には、叶いませんから
それに、お父様も教育者ですよね。
学校から排除するなんて
簡単な事ですよ。」
「帰って!!帰って下さい!
二度と私の前にその顔を
見せないで!!!」
と、林さんを玄関から外に
押し出して、封筒を叩きつけ
ドアをしめた。
うっ····ううっ····
涙が止まらなかった。
ここにいたくないと
泣きながら鞄に荷物を詰めて
部屋をでた。
その日は、駅前のホテルに
宿泊して母・すみかに連絡した。
「体調が悪いから
明日の式典は、欠席するね。」
と、言うと心配そうな母の声
「大丈夫なの?」と。
日頃、休む事のない私だから
母は、酷く心配していた。
「帰ろうと思っていたけど
無理そうだから明日帰るね。」
と、言って電話を切った。
電話を切ると同時に携帯を壊した。