私達には、関わらないで!!
父の手は、わなわな振るえていた。
「お父さん、全ては私の父が
仕出かした事です。」
と、悠真が言うと
顔を上げた父は私に
「すまなかった。本当にすまなかった。
お前が、芽依が考えもなしに
する子ではないことは、わかっていたのに
あの泣き腫れた芽依の顔と
急な事に正常な判断が出来なかった。
教育者として情けない。
人に教える人間が決して口に出して
良い言葉ではないことを
口にしてしまい。
自分の中に恐怖と懺悔ばかりの日々だった。
母さんが芽依と繋がっているのが
わかり心からホッとしたんだ。
携帯を見ながら、優しげな顔をする
母さんに、ずっとあんな顔を
俺には見せてくれないと思っていた。
それだけの事を俺はしたんだと。
悠真君と言ったね。
こんな父親から、こんな立派な
娘ができたことを誇りに思います。
娘と孫を宜しくお願い致します。
石川さん、どうぞ娘を宜しく
お願い致します。」
と、悠真とお義母様に頭を下げる父に
「おと····うさ····ん····
と、私も母もお義母様も涙を流した。
「必ず、幸せにします。
この先、増えるであろう家族も
みんなで幸せになります。
それと、お父さん
私は、芽依さんがお父さんを尊敬して
教育者になるために頑張っていたのを
ずっと見てきました。
ですから、芽依を教壇に
立たせてあげたいと思っていますが、
それは、可能ですか?」
と、言うと父は、
「問題ありません。
ありがとう·····本当にあり·····がとう。」
と、言った。
「後、もう一つ
私は、石川は継ぎません。
それは、芽依も母も承知して
くれています。
弟が石川を継ぎ石川財閥の総帥と
なります。
私は、小さな会社を大学時代に
起業しておりますので
そちらを細々と出来たらと
思っております。」
と、言うと
父は、大きく頷き
「あなたは、あの会見で真ん中に
いたかたですね。
とても丁寧で誠心誠意の姿勢が
テレビで観ていても伝わりました。
あなたなら、問題ありません。
安心しておまかせできます。」
と、言うと母が
「もう、良いとこ取りですよ。」
と、言うから皆で笑った。
母から、教師採用を断った時
父は、自ら校長に謝り
「少し勉強させてから、また教師を
させますので、その時は宜しく
お願い致します。と、言ったのよ。」
と、聞いて·····
ああ·····もぅ、ずっと泣いてばかりだ。
と、思っていると陽菜乃が涙を
拭いてくれた。
「あっ、お父さん
遅れてごめんなさい。
娘の陽菜乃です。
陽菜乃、おじいちゃんだよ。」
と、言うと陽菜乃は
「まえぞの ひなのです。」
と、頭を下げると
「もうすぐ、石川な」
と、悠真が言うから、また、皆で笑った。