【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
オファーというより、口説かれてます
 別室で伯父様と秘書さんーー慎吾さんというらしいーーが業務提携の可能性や互いの事業展望について話し合い。

 私は隠岐さんから改めて『隠岐の杜プロジェクト』の趣旨を伝えられ、造園師『光』へ設計者として参加要請をされていた。 

 同時に彼のプロフィールも。
 隠岐 護孝さん、三十歳。
 超一流大学を出たあと、日本が誇る星つきセレブ御用達ホテルチェーン、エスタークのCEOをしているそう。
 なんと、家業なんだとか。

 彼は見た目通りのハイスペック男子だった。
 オーナー一家の出身とはいえ、若干三〇代でトップに上り詰めちゃうなんて、優秀な人なんだ。
 
 改めて、すごいなと思いつつ。 
 …………『口説く』ってそういうことか。
 なんだ。

 がっかりした。
 正直に言うと、ものすごく。

 冷静に考えて、日本を代表する経営者が仕事以外で私に用なんてあるわけない。
 なのに口説かれたと思っちゃうなんて。
 お目が高いだろう彼の目に止まったんだと思えた。 
 勿論、着付けやメイクをしてくださったお祖母様や伯母様の腕がいいんだけど。

 ちょっぴりは自分が誇らしく思えたんだけどな。
 ははは、私ったら自意識過剰すぎるよ……。

 しかし、私は声を大にして言いたい。
『口説く』って言葉をヘッドハンティングに使っちゃいけないと思うー!
 特に隠岐さんみたいなハンサムでハイスペックな人は!

 なぜか?
 わ、私みたいな恋愛経験値最低ランクが聞いたら誤解しちゃうでしょ。

 ふんだ、勝手にドギマギして損しちゃったですよーだ。
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