【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
「よかった」 

 隠岐さんが嬉しそうにほほえみかけてくるので、見惚れてしまった。
 ふと、彼が真剣な表情になる。

「多賀見家とひかるの繋がりって、どういうものなんだ? 単なる雇用主と庭師じゃないな?」

「母が多賀見の伯父様の妹で」

 彼は私の言葉を咀嚼してから、肩から力を落とした。

「……今回のことは多賀見氏の手のひらの上だった、てことか……」

 隠岐さんが深いため息を吐き出す。

「え?」
「失礼なことをうかがうが……ひかるにはしばらく恋人がいないな?」

 確信めいた問いに、わかりますかと小さな声で問い返すしかなかった。
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