【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
真相を問いただしてみた
 トンデモミーティングを終え、私は伯父様と帰路につきながら、ことの次第を洗いざらい教えてもらった。

 ……ほぼ、隠岐さんの推察どおりだった。

「ひかるはクズ男とわかれてから恋人がいないだろう? 玲奈に確認させても『あれだけ若い男に囲まれていながら興味なさげだ』と」

「たしかに職場環境としては男性だらけですけど」

 三ツ森造園事務所は『将来の人間国宝』の技を習得したい若い人が多い。

 けれど手に職系が人気なせいか、イケメン男子は引くて数多で私に手を出すほど困っている人はいない。
 おまけに周りに女性がいない危機感からか、相手をみつけた人の結婚は早い。

「お父さんのお弟子さん達にとって、私は同じ兄妹弟子です」

 きっと、恋愛対象と見られていない。
 せいぜい、たまに化粧したりスカート履く、新種のモモンガくらいに思われているんだろう。

 うーむと伯父様がうなる。

「玲奈が言ってた、『協定がアダになってる』は本当のようだな」

「え?」

 なんでもないよ、と伯父様は笑顔でおっしゃる。

「今となってはよかったかな。隠岐氏とはまた、とんでもないものを釣り上げたんだから」

 さて、大樹兄貴にはなんて言おうかねぇ。


「もー! 伯父様ったら、犯人がわかった探偵のような表情です。独り言ではなく、私にも教えてくださいっ」
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