【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
「うん。だからね、恋愛家系の多賀見家はひかるに恋をさせようと目論んでみた!」

 ……唐突だな。

 痛む頭を駆使して理解力を総動員した結果。
『ひかるに、似合う男性おらんかなー』
 多賀見家総力をあげて探しだそうと決めたらしい。

 そこに飛んで火に入る夏の虫だったのが、隠岐さん(からのオファーメール)だったらしい。

「隠岐氏の経歴を見て、お袋が『彼はどうか』と言い出した」

「お祖母様が」

 伯父様のお母様、つまり私のお祖母様は多賀見におけるラスボスである。

「玲奈は『復帰後の初戦としては大物過ぎない?』と心配していた」

 従妹はやっぱり優しかった。

「ひかると隠岐氏を見合いさせようと家族内での合議が満場一致で決定した途端、『私、TOKAIヒルズガーデンを貸し切ってくる!』とノリノリだったがな」

 くそう。
 玲奈ちゃんは私をそそのかす尖兵だったか。

「多賀見は小金持ち程度だが、隠岐は『お金持ち』クラスだ。我が家が玉の輿を狙ったと勘繰られる懸念があった」

 そうですよね!

「だが」

 伯父様、ドラマティックに溜めを作らないでー。
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