【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
「他人ごとだと思って!」

 にらんでみせれば、ごめんとあやまられた。
 
「だってひかるちゃん、家とウチの庭の往復で出逢いないし。まさか隠岐さんがこんなにぐいぐい攻めてくる人だと思ってなかったんだものー」

「もう、すごいマメなんだよ……」 

 困る。
 仕事に支障がないように気を使ってくれているのはわかるけど、とにかく困る。
 とりわけ、私をみつめている彼の視線に。

「知ってる。ほぼ、日参だってお母様が言ってらしたもの」

 朝早く来て、私の仕事を眺めていく。かと思えば。

「ひかるちゃんの休みの日にも出かけてるんでしょ? 断ればいいのに」

「だってぇ〜……」

 断ろうとしたことはある。

「『今、俺はひかるに求婚中だ。ひかるは、俺が夫たりえるか、精査する必要があるだろう?』って言うんだもの」

 確かに、よく知らないから断るというのは違う気がする。

「術中に嵌ってるね……」
「え?」

「ううん、こっちの話」
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