【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
デート攻勢されてます
「……奢ってもらってる、てこと?」

「私を喜ばせようとばっかりして!」

 私の好きなことを優先してくれる。
 たまには隠岐さんのしたいことをしてくださいと言えば、優しい目をして言われた。

「『ひかるが楽しんでくれれば俺も嬉しい』とか言ちゃって!」

「隠岐さん、イケメン過ぎる」

 玲奈ちゃんがぼそっとつぶやいた。

「プレゼントばっかりしてきてっ」

 クローゼットに入りきらない。
 断ろうとすれば、悲しそうな顔をされる。

「マメだマメ男だったのか」

 ひかるちゃんは難攻不落だからなぁ、攻めあぐんでるのかな、なんて玲奈ちゃんが呟いてるけど。

 そんなことない。

「しかもだよ? 私の大好きなアウトドアメーカーとかどうして知ってるの?!」

 彼は、パニックしている私なんかより、ずっと余裕綽々だ。

「この家にも突撃してきてるからでしょ?」

 たしかにこの家での仕事着はそうだけど。
 彼は見ただけで、私の好みを看破してしまうのだろうか。

 私は彼のこと、なにも知らないのに。

「そのくせっ、『お返ししたい』って言えば『ひかるの微笑みが欲しい』とか!」

 隠岐さんが結婚詐欺師だったら、今ごろ私は全財産を渡してる。

「もう、スパダリの予感しかしないわ……」

 玲奈ちゃんが面白がっているような、呆れたような声を出した。

「私一人で入ったこともないブランドに連れて行かれるし」

「ひかるちゃん、急にお洒落になったもんね」
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