【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
『ひかる、市場調査に付き合ってくれないか』

『え?』

『ホテルに出店してもらってるショップや、これから依頼したいブランドをチェックしたいんだ』

 ホテルの客層とマッチしてるか確認して、場合によってはテナントを入れ替えるのだと言う。
 納得して、お店に入ったら。

「『俺はひかるの騎士だから。魔女達から、いざとなったら守ってあげる』なんて言っておきながら、店員さんに私のこと引き渡しちゃうんだよ!」

 そうして私はとっかえひっかえ着替させられメイクされる。
 魔女は魔女でも、いい人ばかりだ。

「……扱い、上手いなぁ」

「あ、頭の先から爪先までコーディネイトされちゃって」

 あれこれ着替えさせられている間に、ひょいひょいと服を持ってきてくれる。
 流行を追いつつ私を美人に見せるものをだ。

「セレクトショップやメゾンの店員よりも、センス上とは……! でも納得。彼自身もお洒落だもんね」

 玲奈ちゃん、今なんて言った? 聞き捨てならない。

「隠岐さんのこと、自分のものみたいに『彼』なんて言わないでっ!」

 鋭く言ってしまってから、自分に驚く。
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