【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
「隠岐家に役立ちつつ、本家を盛り立てるような女性を、いずれは妻にするんだろうと思っていた」
「……それが私だったんですか」
私の言葉に護孝さんは答えてくれず。
「金も権力も女も。本当は必要なくても、ちょっと欲しがって見せれば、すぐ目の前に降ってきた。会社の経営を向上させるのも人を意のままに動かすのも、パワーゲームとして面白い」
「最低」
あまりの言葉に、非難の言葉が漏れてしまったが、護孝さんの反応は穏やかだった。
「そうだな」
「……ごめんなさい」
庭の手入れを頼む人の中には護孝さんが言ったような人もいる。
彼らの庭は古木や銘木ばかりで傲岸だったり。慣れない土に無理矢理植えられて生きづらそうで、みるこちら側も息がつまりそうだったり。
かといえば、育て方をしらずに庭から元気を奪ってしまったりする。
庭は持ち主の顔をしている。
けれど、そんな人達と護孝さんを混同したわけじゃない。
嫉妬だ。
私みたいにおどおどしているだけの人間にも、優しくて気遣ってくれる人。
護孝さんがモテないわけがない。
彼を形づくってきた過去、とりわけ護孝さんが目を向け手で触れた女性達を攻撃した言葉。
「いいさ、本当のことだ。……今まで生きてきたなかで本気で欲しいと思ったのは、ひかるが初めてだ」
低く呟かれた言葉に聞き返す。
「え?」
「この女さえ手に入れば世界と引き換えにしてもいいと思ったのは、ひかるだけだよ」
彼の言葉が理解出来た途端、爆発してしまった。
「~~~~だからっ、なんでそんなに私が好きなんですか!」
手を振りほどいて逃げだそうとしたがかなわず、強い力で腕の檻に閉じ込められる。
「いつ、誰のどこを好きになるか……なんて、わかってる人間なんていないだろ」
はあ、と荒い息が頭を撫でていくのに、ぞくりと体が震えてしまう。
「俺がひかるのことを好きなのが信じられない?」
「だって……、好かれる自信なんてない!」
美人じゃないし、頭の出来はなんとか一浪せずに済んだ程度。
……そもそも、造園師としての実力なんてないのかもしれない。
多賀見の庭の専任を任されているのも、三ツ森大樹の娘で、多賀見の血縁だからで。
「……それが私だったんですか」
私の言葉に護孝さんは答えてくれず。
「金も権力も女も。本当は必要なくても、ちょっと欲しがって見せれば、すぐ目の前に降ってきた。会社の経営を向上させるのも人を意のままに動かすのも、パワーゲームとして面白い」
「最低」
あまりの言葉に、非難の言葉が漏れてしまったが、護孝さんの反応は穏やかだった。
「そうだな」
「……ごめんなさい」
庭の手入れを頼む人の中には護孝さんが言ったような人もいる。
彼らの庭は古木や銘木ばかりで傲岸だったり。慣れない土に無理矢理植えられて生きづらそうで、みるこちら側も息がつまりそうだったり。
かといえば、育て方をしらずに庭から元気を奪ってしまったりする。
庭は持ち主の顔をしている。
けれど、そんな人達と護孝さんを混同したわけじゃない。
嫉妬だ。
私みたいにおどおどしているだけの人間にも、優しくて気遣ってくれる人。
護孝さんがモテないわけがない。
彼を形づくってきた過去、とりわけ護孝さんが目を向け手で触れた女性達を攻撃した言葉。
「いいさ、本当のことだ。……今まで生きてきたなかで本気で欲しいと思ったのは、ひかるが初めてだ」
低く呟かれた言葉に聞き返す。
「え?」
「この女さえ手に入れば世界と引き換えにしてもいいと思ったのは、ひかるだけだよ」
彼の言葉が理解出来た途端、爆発してしまった。
「~~~~だからっ、なんでそんなに私が好きなんですか!」
手を振りほどいて逃げだそうとしたがかなわず、強い力で腕の檻に閉じ込められる。
「いつ、誰のどこを好きになるか……なんて、わかってる人間なんていないだろ」
はあ、と荒い息が頭を撫でていくのに、ぞくりと体が震えてしまう。
「俺がひかるのことを好きなのが信じられない?」
「だって……、好かれる自信なんてない!」
美人じゃないし、頭の出来はなんとか一浪せずに済んだ程度。
……そもそも、造園師としての実力なんてないのかもしれない。
多賀見の庭の専任を任されているのも、三ツ森大樹の娘で、多賀見の血縁だからで。