【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
 一〇分後。
 父はいびきをかいて爆睡していた。ショットの中身は半分ほど残っている。

「お父さん、とっても弱いんです」

 つい、笑ってしまった。
 戸棚から取り出したブランケットを父にかけてやる。

「危なかった……アームレスリングなら瞬殺だった」

 護孝さんが父と握手していた手をぷらぷらする。

「ショットは父が負けたいときの勝負なんです」

 私が造園と全く関係ない短大に進みたいと言ったときも。
 そして、造園しかない。父に弟子入りしたいと頭を下げたときも挑まれた。

 私は二度ともジュースだったから、父は明らかに負けてくれたのだ。

「こういう形で認めてくださったんだな」

 護孝さんが少し目を赤くして鼻声で呟いた。それから、甘えるように私の背中に抱きついてきた。

「はい」

 私も、お腹に回された彼の腕をぎゅっと抱きしめ返す。
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