【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
 腰に添わされた彼の手を意識しながら、私は別の部屋へと移動した。

 ぴたりと、足が止まる。
 目の前にはキングサイズのベッドが鎮座ましましていた。
 私の荷物も運びこまれている。

「……」

 緊張して体が固くなる私に、護孝さんは静かに告げた。

「ひかるを抱きたい。……今日は逃してあげられない」 

 息を呑み込む。

 これっぽっちも逃げたいなんて思ってない。
 私だって、彼の肌や体温をじかに感じたい。
 け・ど!
 それと緊張(これ)とは別物である。

 ベッドに視線が固定されて離れないままの私を、護孝はじっと見つめていたらしい。
 やがて、口をひらいた。

「ひかるが俺を嫌いで、抱かれたくないと言うのなら……」

 呪縛は解けた。
 私は振り向くと、きっと護孝さんをにらみつけてから彼へ飛びついた。

「好きです! まだ自覚したばかりだし、格差とか身分違いとか思ってしまうけど、護孝さんが好き! ……なんで、私の気持ちを疑うの」

 泣きそうに歪んだ私の顔を見つめた護孝さんは、こらえきれないように抱きしめてくれた。

「お願いだ、ひかる。俺のものに……」
「はい」

 護孝さんの強い腕にすくわれ、私の体がふわりと浮く。
 ベッドにそっとおろされた。
 目と目を見交わすと、どちらともなく唇が重なる。

 この日、二人の肌と想いが重なり合った。
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