妖の木漏れ日カフェ 人間界編
「ねえ、お母さん。なんか、狼みたいな動物が街中に出たらしいよ」
無事大学合格を果たし、高校の卒業式も終え、今は何にも追われることのない心穏やかな時間を過ごしている。
朝からこんなに穏やかな時を過ごしながらオレンジジュースを飲めるなんて、毎日が休日のようで、これに慣れてしまったら普段の忙しない日常に戻れなくなりそう、なんて1人この時間を楽しむ。
そんなゆったりとしたある朝、情報番組で小奇麗にしているアナウンサーの女の人が、深刻な顔をしてそれを話していた。
「ええ、そうなの? なんだか物騒ね」
狼……。
狼と聞くと思い出す。2年半前の記憶。
今でも、あれが夢だったのか現実だったのか分からない。でも、あの時の経験は確実に今の私を形成するのに必要なものだった。
カイさん、ハトリさん、スミレさん……キキョウさんたち。元気かな。もしあれが現実だとして、今頃、平和な世界で皆でカフェでハーブティーを飲みながら談笑しているかな、皆の姿を想像すると、笑みがこぼれた。
あの1年間は私にとって本当に宝物のような時間になった。あの時間がなければきっと、なんとなく時を過ごしてなんとなく進路を考えて、ぼんやひとした人生を過ごしていたと思う。
そう考えると、夢でも現実でも、どちらでもいいような気がしてきた。
無事大学合格を果たし、高校の卒業式も終え、今は何にも追われることのない心穏やかな時間を過ごしている。
朝からこんなに穏やかな時を過ごしながらオレンジジュースを飲めるなんて、毎日が休日のようで、これに慣れてしまったら普段の忙しない日常に戻れなくなりそう、なんて1人この時間を楽しむ。
そんなゆったりとしたある朝、情報番組で小奇麗にしているアナウンサーの女の人が、深刻な顔をしてそれを話していた。
「ええ、そうなの? なんだか物騒ね」
狼……。
狼と聞くと思い出す。2年半前の記憶。
今でも、あれが夢だったのか現実だったのか分からない。でも、あの時の経験は確実に今の私を形成するのに必要なものだった。
カイさん、ハトリさん、スミレさん……キキョウさんたち。元気かな。もしあれが現実だとして、今頃、平和な世界で皆でカフェでハーブティーを飲みながら談笑しているかな、皆の姿を想像すると、笑みがこぼれた。
あの1年間は私にとって本当に宝物のような時間になった。あの時間がなければきっと、なんとなく時を過ごしてなんとなく進路を考えて、ぼんやひとした人生を過ごしていたと思う。
そう考えると、夢でも現実でも、どちらでもいいような気がしてきた。
< 1 / 3 >