秋に黄昏マジックタイム。褐色の王子は恋愛旅を航海する!side K

何処にでも行けるかと聞かれて、行くと答えますか

Why?
何故、マユの前にこの男に
ガンカケの話をするハメになる?

ケイの目の前に
悠然と座りながら
一分の隙も見せない男。

企業研究所の所長というには
若くて無駄にイケメンだ。

Sharrock こと ハジメが Dirと
呼ぶが 『Nobleman of ice』が
似合いだろう。

しかも、かなり、デキル。
キレナガのeyeはeasyでも
Trained bodyを そのsuit隠して。

じっと、ケイの左手中指を
見つめる眼差しに
居心地の悪さを感じながら、

ケイは、この中指のモノの
話を、始めた。

「Dir レンも旧知、ハジメに
power spot storyを聞いて
climbing 『ガンカケ』で
手にした ringだ。」

そして、左手の中指を示せば、

龍の紋様に『不動尊守護』と
刻印された銀 の願掛け指輪が
光っている。

「わかりました。そのまま続けて
ください。カイザー王子、いえ、
イリュージョニスト・ケイ。」

長身の体をスッキリ姿勢よく
向かいのソファーに沈めて、
ニコニコと微笑みながら
指を組んだ膝の上で、
交差組むポーズの

『氷の貴公子』に、
ケイは ハアーっと 溜息をついて
話をする事にした。



芸術祭が開催される島の1つ。
には島遍路ができる場所が
ある。

厳しい霊場で、難所や、
山岳寺院も多く、さながら
バーミヤンの石秘仏のような
パワースポットや、

海洞窟を思わせる社も
ある中
ハジメが ケイに勧めたのは
断崖絶壁にある寺だった。

本坊から、とにかく長い
石段を登り ようやくスタート。

「My road!本当にこんな場所を climbing で行かれるのですか?」

ケイの警護人が 思わず声を
上げる。それもそのはず。

「そう、らしい。」

目の前には ほぼ垂直に立つ崖。
岩場に 一応鎖がついているが、
一見にして 酷い急勾配だ。

ハジメいわく。
本来の修行は 鎖なしの
ボルダリングで上がるらしい。

「Impossible !!です!!
My road!
chainを使いましょう!」

なるほど、chainを使えば
目の前の推定90代ladyも
climbingしているのだ、いける。

「ここは nice trainingになるぞ」

「NO!『ガンカケ』にtrainingは
要りません!と、しましょう!」

只でさえ、下から上がってきたのですとか、なんとか
文句を言う護衛を無視して、
ケイは
先に登った 90代ladyの所作を
真似して、

参道入り口にある、
金色の鐘を鳴らして、

「今カラ オ参リサセテモライ
マス。ヨロシク オ願イシマス!」
と挨拶をして、
鎖に手を掛けた。

鎖を持ちながら、
ほぼ垂直の岩場を見回すと、
足を掛けれそうな場所が
ちゃんとあった。

「これは、帰りのdown roadが
キツイversionだな。くっ、おい
下を一緒にgripすると、上がり
にくいぞ。Oh!揺らすな!」

いつもなら影で任務を遂行する
護衛が、今は 影も何もないと
一緒にクライミングする。

下から遍路の読経を読む列が
上がってくるのが見える。

噴火でできた高い山の断崖絶を
登る修験の場。

風に煽られ 天空に祈りの声も
昇る。

はじめの試練を登ると、
不動明王が置かれていた。

「So that you can climb safely」

ケイはその前で安全祈願をして、
さらに
並ぶ子育て地蔵の前を行く。

ここからが後半、
2つ目の岩場だ。
見上げれば
『いろはうた』なる石板が
横にある。

余りの勾配に、根を上げない様に
少しでも気を紛らせれる
配慮らしい。

それだけ、下から順当に上がれば
本殿の前に立ちはだかる
崖は絶望的になるだろう。

本来の修験は山の麓から
始まり、足で登るが、
今は金の鐘まで車で来れるのだ。

「本殿への道はここだけか。」

とはいえ、
勾配は相変わらずキツくても、
中央には鉄で出来た
手すりをつたって登れる。

例え寺の納品があっても、
ここから人力で上げる
スリル満点な岩場を
ケイは護衛と
黙々と 登り切った。

そこには 崖沿いに石橋や、
崖に石仏が添えられた
暗い洞窟の入り口がぽっかり
空いている。

ここをくぐり抜けて
行かなければならない
これが本殿の入り口だからだ。

洞窟に入ると 撫でる仏が
鎮座して、その下には
木をくりぬいた六角形の木枠が
入った穴
『くぐり岩』と入り口にあった
『幸せくぐり』と呼ばれる穴が
見えた。

「『タイナイメグリ』とか
ハジメが言っていた 穴だな。」

産道を意味するこの場所を
抜ければ「滅罪招善」である
とされ、
幸福な縁に結ばれる。

穢れを落とし、生まれ変わる。

厳しい試練の先にだけ
辿り着ける霊場の利益だ。

ケイが入ろうとすると、
電気のスイッチを見つけて
撫で仏を照らして 祈っていた
護衛が

「しかしMy road。我々の体では
穴につかえてしまいます。
Impossible です!NO attack!」

と慌てる。

「いや?ここまで来たらクグル。
つかえれば、引き出せ。行くぞ」

ケイは柔軟な体で、体躯良く
抜け出して、仏に合掌。
それから 護衛が肩を上手く
かわし抜けるのを
腕ごと 引き出した。

洞窟を出ると
標高の高い景色が
広がる景色とあわせて、
すぐ本殿に出た。

「My road!素晴らしいですな!
足場が狭いですが、自然と
恐怖より mother powerに
守られいるようでございます」

薄暗い本殿から 光る、
外の景色は
広い空と緑の山合間に
棚田の里。

抜けた洞窟と相まって
より鮮やかに焼付く。

瀬戸内の海も一望できる眺めは
清廉とした
空気で、仙人さえ感じる。

「Island protected by Godだ。」

自国とは違う風景は 雲の上だ。
ケイは 護衛と暫し楽しむ。
本殿には、
岩場をくり貫いた中に
仏が祀られて、
その横に目当ての
『願掛け指輪』が売られ

ケイは 蝋燭を供えて
祈る。

ずいぶん romantic prayer だ。

ケイは自分に苦笑して
ようやく ハジメに聞いた
評判の銀の指輪達と説明の前に
足を止めた。


右手の親指
不眠、心の安静。
人差し指ー学業、進歩栄達。
中指ー忍耐。苦しみに耐え抜く。
薬指ー厄除け。戒めで魔が退ける
小指ー健康運。病気災難断絶。

左手の親指ー智慧を得。
入学・入社運。
人差し指ー勝負運。力を得。
中指ー良縁。願いが叶い。
薬指ー商売運。財産を得。
小指ー開運。恵みを受。

ケイは当然 ククッと笑って
純銀の指輪を左手中指にはめる。

「Marriage hunterだからな。」

願いが叶えば
指輪は返しに来る。
本堂の外陣には
役目を果たした指輪が
山と積まれているのだから
効果は期待できそうだ。

住職が 2人に声を掛けてくる。
きっと外国からのゲストだと
会話で解ったのだろう、

この場所は
88箇所ある島遍路の 73番札。
72番の寺の奥の院になり、
次の74番には 歩き遍路なら
途中の子育て地蔵の場所の奥に
鐘楼堂があり、
その奥の 88石仏など
山仏や不動明像に
見守られる 道が
続いていると 教えてくれた。

「このprayer groundは ほんの
一分なのだな。オレは それを
切り取っただけのvisiterなのか」

住職に 護衛にスリンを吹かせても
いいと了解を得て、ケイは
スリンー竹笛の音を奉納する。

『シャクハチ』みたいな音色だと
いわれながら

神聖な寺院であり霊場。
祈りを捧げる厳粛な場所で
嵌めた 指輪を


ケイは 再び 目の前の
『氷の貴公子』に示して、

真っ白い歯をニカッと見せて
満面破顔した。

How did you come ! Dir レン!

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