アタシと秘密の王子さま
黒歴史ってやつです。
代表落ちして久しいから、みんな忘れてくれていると思っていたのに…

困惑のあまり、思わず後ずさってしまった。

ヤバっ、ヒール…

履きなれないヒールがカーペットに引っかかってしまい、バランスを崩す。
入社初日から、なんてこと!!
グラリと視界が傾いた。

「大丈夫!?」

スパイシーな香りが、ふわりと鼻腔をくすぐる。
転ばずに済んだみたいだけど、そのかわり、恐ろしく整った顔が、覗き込んでいた。
形の良い口角が上がり、目を細めてにっこりと笑う。

あ…笑顔…かわい…

ドクン、と心臓が跳ね上がった。
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