アタシと秘密の王子さま

さっきあかねが、米を研いで炊飯器のスイッチを入れた。
冷蔵庫のおかずをいくつか取り出して、手際よく準備している。

「さすがだね」
「賢は料理しないの？」
「留学中は、食事つきだったからなー。一人暮らしすることになって、米の炊き方は教えてもらった」

キッチンを動き回るあかねを、俺はカウンター越しに見つめる。
洗い物をしたり、おかずを温めたり、何かをたして、アレンジしたり…
見ていて飽きない。

俺の視線に気がついて、ふっと目が合う。
すると、恥ずかしそうに、頬を赤らめて笑う。
なんか…これ…、新婚みたいだな。

あれ？
俺としたことが、浮かんだ言葉に戸惑った。