アタシと秘密の王子さま
結婚かぁ…
今まではつきあってても、そんな言葉は浮かばなかった。
そもそも、恋愛感情があったかどうかもわからないんだから、無理もないか。

うわぁ、俺、やっぱりサイテー。

「賢…お願いがあるんだけど」
あかねがためらいがちに話しかけてきた」
「何?」
「この前の紅茶を、入れてほしいな」

「了解」
そんなお願い、いくらでも聞いてあげるよ。

俺は手早くお茶を入れる。
大したコツなんてない。
ティーバッグをポットに入れて、沸騰したお湯を注いで蒸す、それだけだ。

ティーカップに注いで、彼女の前に置く。
「いい匂い…自分で入れても、美味しくなかったんだ」
彼女は熱いお茶に息を吹きかけ、一口すする。
< 108 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop