アタシと秘密の王子さま
まあ、ただ睡眠をとったという意味だけど。

「やっぱり、賢と食べるから美味しいんだ」
あかねがニコニコとクロワッサンを頬張る。
「不思議だね。昨日まではクロワッサン1個食べるのも苦労してたのに…」

「それが愛の力だね」
真っ赤になるあかねを見ながら、彼女が作ってくれたベーコンエッグをつつく。
ゆうべもおもったけど、あかねは料理が上手だ。

「それは賢の贔屓目だと思うよ」
あかねはそう言って謙遜する。
「うちは共働きだったから、おばあちゃんがご飯作ってくれてたの。色々教えてもらったけど、田舎料理ばっかりだよ」

「へぇ、どんな料理?」
「煮物とか、和え物とか、汁物とかね」

「食べてみたいな。あかねの手料理」
彼女の手を取り、甲にキスをする。
真っ赤になって、手を引っ込めようとするけど、離してあげない。

こんな日々が毎日続けばいいと思う。
毎朝、目が覚めるとあかねがいる。

ああ、でも…

不意に去来する不安。

いつもこうだ。

俺のことを、全て知った時、
あかねはどんな反応をするのだろうか?
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