アタシと秘密の王子さま
隣を歩きたい
賢の愛車、シトロエンのコンパクトタイプに乗るのは二度目だった。
一度目の時は、彼と離れたくない気持ちを押し殺して、アパートまで送ってもらった。

二度目の今日は、荷物を取りに向かっている。
運転する賢の横顔を盗み見る。
綺麗な輪郭、真剣な眼差し。
ハンドルを握る、骨ばった手。
あの手が、私の髪を、頬を撫でたかと思うと、ドキドキした。

「何見てるの」
チラッと横目で見てきたかれと、視線がぶつか
り、私は恥ずかしくて俯いてしまった。

なんて、かっこいいんだろう。
こんなかっこいい人が、あたしのカレだなんて、未だに信じられない。

「失敗したなぁ…」
賢がため息混じりにつぶやいた。
どういうこと?
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