アタシと秘密の王子さま
小さくて、綺麗でもないあたしが、
賢みたいな素敵な男性の隣にいるなんて、不釣り合いに思われてる、きっと。

あたしの不安に気づいたのか、賢は繋ぐ手に力を込めた。
そして、手の甲にキス。
口角がキュッと上がって、いたずらっぽい微笑
み。

何度あたしの心拍数を上げて、
赤面させれば気がしてすむの!

「やあ、鳥越くん、いらっしゃい」
白いコックコートの男性が、いつもの笑顔で出迎えてくれた。
『サン・グラール』の店長、賢の友達の海老原さん。

ブランジェリーの海老原さんと、パティシエの
弟、陽人さんが二人で経営している店。
カウンターの後ろのガラスの向こうで、陽人さんが手を振っていて、賢がそれに応えていた。

明日の朝のクロワッサンを買う。
それからイチゴのタルトレットを4つ…
4つもどうするのかな?
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