アタシと秘密の王子さま
その日選んだのは、大好きな淡いオレンジ色のワンピース。
よそ行きのメイク。髪は少しだけ巻いて、アップにしてもらった。
賢が自信を持たせてくれたから、耳を出すが嫌ではなくなっていた。

「あかね、すごく綺麗だ!」
賢があたしの体をそっと包みこむ。
「賢は今日も素敵だよ」
お互いを褒め合う。
これもあたしたちが、すれ違いの時間を埋めるためのルール。

まあ、はたから見たら、ただのバカップルなんだけど。

レストランフロアに向かうと、スーツ姿の外国人男性が数人、間隔をおいて立っていた。
要人がいる。
あたしはピンときた。
あれ、でも…
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