アタシと秘密の王子さま
「小林さん、今日はまた一段とお綺麗で。よくお似合いですよ、頑張って!」
宮澤課長だ。スーツ姿でここにいるってことは、彼も勤務中。

「チッ」と賢が舌打ちする音が聞こえた
「ノブさんに見られた…」
「なにそれ」
あたしが笑うと、
「綺麗なあかねを、誰にも見せたくない」
と独占欲丸出しで、拗ねた顔をする。
いつも通りの反応だけど、やっぱり嬉しい。

『Charterd Today(本日貸切)』
懐石料理店の店頭には、そんな掲示が出ていた。
海外に住んでる親戚や島田家の人たちは、こんなにも警護が必要なのかと思うと、緊張する。

通された部屋には、美花さんとファハドさん。妹の流花さんと真さんご夫妻。そして賢のご両親が到着していた。

そして私たちが席に着いた頃、背の高い、髭を蓄えた中年の外国人男性が一人、ボディガードを引き連れて、部屋に入ってきた。
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