アタシと秘密の王子さま
「やだなぁ、昔の話でしょ。恥ずかしいからやめてよ」
あたしはおどけてみるけれど、昔のことを持ち出されるのは気が重かった。

女子の柔道経験者はあたしだけ。
二人は格闘技の経験すらない。
だから、あたしの稽古相手は当然男性だ。

チラッと目をやると、鳥越くんは空手の道着を着ていた。

「見て、鳥越くん。スーツもかっこいいけど、こっちもたまらないよね!手足長ーい!あかねちゃん、今朝鳥越くんに助けられてたでしょ!」

「あ、あたしも見てた。二人とも目立ってた
わー」

「あれは転びそうになったのを、助けてもらっただけだよ…」

あの時のことを思い出すと、顔が熱くなった。
でもそんなこと、まわりの人に知られるのは
イヤ。
しかも同期の女子なんて…
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