アタシと秘密の王子さま
風景が、空気が、そして時間さえもが止まったような気がした。

「Came on!」

彼女が拳を上げて、狂喜する声を聞いてようやく我に返った。
瞬殺…!?俺が?相手は女子だぞ!
黒い瞳がフラッシュバックした。
あの目だ!あの目のせいで、俺としたことが、勝負を忘れた!

「勝ち逃げでーす」とおどける彼女の、ペロッと出したピンク色の舌に、ドキッとした。

なんだ、この胸の高鳴りは…

「賢、腕相撲で負けたことが、そんなにショッ
ク?」

「違うよ!」
思わず声が大きくなる。
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