アタシと秘密の王子さま
襟をつかんで引っ張る、すれ違いざまに腕を掴
む、首を絞める…色んな状況を俺が作り出していくと、最初はゆっくりだが、確実にかわし、攻撃をして、離れる。
ああ、だいたい動きを理解している感じだ。
ゆっくりぎこちなかった動きが、だんだんスムーズになってきた。

反応が早い…、打てば響くってこういうことか!

身体中から汗が吹き出し、呼吸が荒くなってきているのに、手足を繰り出すスピードはどんどんあがってゆく。

やっぱ、すごいな小林!初心者とは思えないシャープな動きだ。
こいつとの稽古がこんなに面白いだなんて、予想外。
ああいいな、こういうの…

そう思った瞬間。

ごつんと足首に衝撃が走り、気がついたら、俺は畳に仰向けで倒れていた。
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