アタシと秘密の王子さま
それにしても…
場違い感半端ないな…

駅の改札を抜けて、ペデストリアンデッキに流れ出す人の波は、華やかだ。

柔らかな色のスプリングコート。
春風に裾をなびかせる、綺麗なシルエットのスカート。
ほのかに甘い香りを漂わせながら、ヒールの音も高らかに歩く女性たち。

振り返って、自分は!?
身長155センチ、太っているわけではないけれど、筋肉質でずんぐりして見える。
紺色のスーツは、自分的には決して安物じゃないけれど、ここでは地味すぎるような気がする。

高いヒールなんて履きなれないし、ロクな化粧もできない。
耳は潰れてるから、隠せるような髪型。結果、耳元のオシャレもしない。

ヤバ…今日から島田さんの下で働けるのに、あたしネガテイブになってない!?
ブンブンと首を振って、嫌な考えを振り払う。
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