アタシと秘密の王子さま
ああ、と言って、彼は窓辺に向かい、カーテンを開けた。
目の前には見慣れた高層ビル。

「うそっ!ここ、レジデンスなの?鳥越くん、レジデンスの住人なの?」
また大声を出してしまった。

どれだけあたしを驚かせたら気がすむのだろう、この人は。

「みんなには言うなよ。特に岡野には」
真弓のギラギラした顔を思い出す。
怖くて、言えない…

「ご両親は一緒じゃないの!?」
「就職するときに一人暮らしをしたいって言ったら、両親の方が家を探して出て行ったんだよ。おかしな人たちだろう…」

彼はソファに戻ると、ポンポンとソファを叩い
て、あたしに座るように促した。

「もともと、ここは『シマダ』の会長が買った部屋なんだけど、色々あってうちが住むことになったんだ。ここはセキュリティがしっかりしてる
し、会社も目の前だ。美花さんたちも住んでるから、両親も安心できるんだろう」
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