アタシと秘密の王子さま
「そっかぁ、美花さん、いとこだってさっき言ってたよね。鳥越くんのこと『賢』て呼んでたの
は、そのせいか!ずっと気になってたんだよね」

「気になるのは、そこか?」

彼の顔が百面相みたいに変わって、あたしは思わず吹き出した。
「鳥越くんの顔ー!いつも済ましてるのに、みる影ないよ!」

「誰のせいだと思ってるんだよ」
今度は拗ねた。

「ごめんなさい、あたしです」
小さく手を上げて、申し訳程度に謝った。

彼といる時間が楽しい。
美味しいクロワッサンを食べて、彼の入れてくれた紅茶を飲む。

家族の話も聞けて、普段見られない彼のいろんな表情が見られた。
しかもみんなが憧れるレジデンスのリビングで。
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