アタシと秘密の王子さま
だけど、そんなこと書けるわけないじゃない。

あたしは、当たり障りのない返事をして、スマホを置いた。
サイレントにして。

「よっし、掃除して、洗濯して、買い物に行こ
う!」
パンパンと、両手で自分の量頬をたたいた。

広くない部屋の掃除なんて、いくら丁寧にして
も、すぐに終わっちゃう。

出たばかりの初任給で、ご褒美を買おうかな。
そう思って買い物に出てみる。
服や小物を見て回っても、視点が手に持ったものに定まらないことに気づく。
なにがほしいのか、考えがまとまらない。

食料品を見てもおんなじ。

思い出すのは、今朝起きてから、彼の部屋で見聞きするしたことばかり。
胸のあたりがしめつけられて、苦しい。
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