アタシと秘密の王子さま
ベーカリーの前を通りがかって、クロワッサンを買う。
もういいや、帰ろう。

気を紛らわせようと思って、妹に電話をした。
『あ、おねーちゃん!元気?』
妹の瞳は今、東亜大学の柔道部の寮でくらしている。

『あかねせんぱーい』
『お久しぶりでーす』
電話の向こうから、後輩たちの声が聞こえてき
て、嬉しくなる。

『今度、大学に遊びにきてよ』
『うん、もうちょっと落ち着いたらね』
そう言って電話を切った。

あー、もう、気が入らない。
何にも手につかない!
「鳥越くん、責任とってよ!」

なにが原因なのか、わかってる。
でも、どうやったら解決するのか、あたしにはよくわからなかった。
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