君と見る空は、いつだって青くて美しい



 …………。

 ……でも。

 真宙くんの呼びかけに返事をする余裕がないとはいえ、このまま何も言わないのも真宙くんに申し訳ない。

 だから私は、微かな気力を振り絞って真宙くんに返答をする。


「……ごめんね、真宙くん」


 私は小声でも、なんとか声を出すことができた。


「希空ちゃん、やっと声を出してくれた。別に謝らなくていいよ。ただ希空ちゃんが、あまりにも元気がないように見えたから心配になっちゃって」


 私の声を聞いて、少しだけほっとした様子でそう言ってくれた、真宙くん。


「ありがとう、真宙くん」


 私は、そんな真宙くんに『ありがとう』という気持ちになった。


< 220 / 553 >

この作品をシェア

pagetop