君と見る空は、いつだって青くて美しい



「私ね、小学生の頃からダンス教室に通ってるの」


 そ……それがどうしたというの。


「それでね、そこで仲良くしてる子がいるんだけど」


 だ……だから、それがどうしたというの……‼


「たまたまなんだけど、こんなことを話してたの」


 話って、何の話……⁉


「『私の好きな人が、他の女の子と付き合ってるって噂が流れてるんだけど』って」


 その話をダンス教室の友達に話したからって、それがいったい何になるというの……⁉

 黒川さんのダンス教室の友達は、私や真宙くんのことを全く知らない。

 知らない人たちの噂話をしたって、そのダンス教室の友達にとっては誰のことなのか、さっぱりわからなくて興味のない話なのに。


「それでね、その話をしてるときに、ぽろっと言っちゃったんだよね」


 言っちゃったって、なにを……?


「麻倉さんの名前」


 そ……それがどうしたというの。

 私の名前を言ったところで、黒川さんのダンス教室の友達は、私のことを知らなくて、どこの誰だか、わからないわけなのだから。


「そうしたらね」


 ……?

 そうしたら……?


< 304 / 553 >

この作品をシェア

pagetop