君と見る空は、いつだって青くて美しい



「麻倉さんにとっては好都合じゃない? 青野くんと関わらないだけで、私は麻倉さんの中学の頃のことは誰にも言わない」


 なんで……。


「こんないい条件ないんじゃない?」


 なんで……こんな……。

 こんなにも……。


「ねー、麻倉さん」


 えげつない。

 黒川さんは、とてもにこやかに話しているけれど。

 言っていることは、とんでもなくえげつない。


「だって、誰にも知られたくないでしょ。今一緒にいる友達にも……青野くんにも……」


 わかった。

 なんで黒川さんは笑顔になればなるほど恐怖で威圧感を感じるのか。

 それは、黒川さんの顔をよく見ればわかることだった。

 黒川さんの笑顔は、目が……全く笑っていない。


< 306 / 553 >

この作品をシェア

pagetop